FXには豊富な通貨ペアがありますが、その全てについて知っておく必要はありません。通貨ペアごとに異なった特徴があるため、傾向をつかむだけでも一苦労です。FXを始めたばかりの頃はさまざまな通貨ペアに手を出したくなりますが、少なくとも1年ぐらいはどれかひとつだけ通貨を決めて取引することを絶対におすすめします。
もしひとつだけ通貨ペアを決めるとしたら、やはりドル円がおすすめです。理由は次の通りです。
- 世界の基軸通貨がドルだから
- 外貨準備率の6割がドル・FXで取引される通貨の8割以上がドルという圧倒的パワー
- 日本国に住んでいるので円について詳しいから
- 日本国に住んでいるので日本経済に関する情報が取りやすい
- ドルが使われるアメリカは英語でニュースが流れるので、情報が取りやすい
- ポンドやユーロに比べて、ボラティリティが低めだから
- 雇用統計を筆頭に、投資家の注目する重要な経済指標の多くがアメリカ発表
ドル円は全FXトレーダーにとって基本の通貨です。ドル円では、ボラが極端に大きくなることがあまりないので、落ち着いてトレードができます。「ボラティリティが高いからユーロやポンドでトレードしたい」という初心者がたまにいますが、初心者がこれらの通貨でトレードするのは絶対に止めてください。特にポンドは完全に上級者向けの通貨です。ボラが高いことが災いして、お金を増やすどころか一文無しになってしまう方が大勢います。
まずはドル円で利益を出せるようになってから、次の通貨ペアへと移りましょう。それができないうちは徹底してドル円を極めるべきです。
興味本位で様々な通貨ペアに手を出すのは「あり」
「ドル円がいい」とは言いましたが、自分の勉強のために別な通貨ペアに触れてみるのはいいと思います。
例えば、ユーロ円でトレードしてみると、ドル円との違い、いわゆる合成通貨であるクロス円独特の動きに気づきます。また、オーストラリアドルのような資源国通貨でトレードしてみると、ニュースなどで着目するポイントが違ってくるはずです。トルコリラのような通貨でトレードすることは、地政学リスクにまで関心を持たせてくれるかもしれません。
さまざまな通貨ペアをいじっていると、証券会社のシステム面における違いにも気づけます。同じドルストレートでも、ドル円ではなく、ユーロドルのような通貨でトレードしてみると、約定スピードの違いやスリッページの違いなどにも関心が及ぶでしょう。
目的があって他の通貨ペアを選択するのであれば、それは無駄にはなりません。いずれにせよ、ドル円の動きと比較するという意識をもってトレードをしましょう。
ダメになったらドル円に戻ってくる
研究目的で様々な通貨ペアを試すのはアリです。いろいろと試してみた結果「この通貨ペアだとダメだな・・・」と判断したならば、おとなしくドル円に戻りましょう。ドル円が一番だと気づくはずです。「ポン円で儲けている」とか「ユーロドルを知らないとダメだ」といった情報を真に受けて、「ドル円はダメだ」という変な固定観念を抱かないようにしましょう(もちろん逆もしかりですが)。
通貨ペアの選択で大切なのは、全ての通貨ペアについて詳しくなることではなく、自分の選択した通貨ペアで収益を上げることです。何のために通過ペアの選択があるのか、その本質を見失わないようにしましょう。